• 内科医師からスタートし、現在は三代続いている漢方専門のクリニックを銀座で開業中。女性系疾患(月経関連、更年期、 不妊症など)、アトピー性皮膚炎などから、ちょこっと体の弱い人までお見えになります。趣味はマラソン(基本的にはインドアでテレビ派)、猫(アメショ)、週に1回の外食。マラソンはsix stars finisher(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)日本人では338人目位の達成!!

前回、桂枝茯苓丸と当帰芍薬散の両者を処方して感覚が全く違った方について書きました。この記事には思った以上に反響が大きかったので、簡単に今回は両者の違いをまとめておきます。

2023年12月26日:加筆
この記事が好評なため、新たに当帰芍薬散や桂枝茯苓丸について書きました。
以下の記事もご参照下さい。
2023年のブログ検索数トップは「当帰芍薬散」と「桂枝茯苓丸」!そこで年内最後に改訂版!

まずは構成生薬を表にまとめます。

桂枝茯苓丸当帰芍薬散
桂枝×
茯苓
芍薬
牡丹皮×
桃仁×
当帰
川芎
白朮
沢瀉

桂枝茯苓丸は以上5種類の生薬、当帰芍薬散は6つの生薬より構成されます。当帰芍薬散に関しては過去に何度も書いていますので、そちらを参考にして下さい。桂枝茯苓丸と当帰芍薬散は重複する生薬が2種類のみ、つまり共通点は女性系の処方と言うだけで全く異なる処方です。

桂枝茯苓丸の生薬

桂枝茯苓丸の構成生薬を見ていきます。桂枝は気の流れを整える作用があり、特に体の上部(頭)に上った熱を下げる作用があります。つまりのぼせを冷ましてくれます。茯苓には利尿作用があります。当帰芍薬散は更に、白朮、沢瀉が加えられているので利水作用が増しています。芍薬には子宮の動きなどを穏やかにすることにより月経痛などの痛みを緩和します。牡丹皮桃仁は共に比較的作用の強い駆瘀血剤で、血流改善の作用があります。当帰芍薬散に含まれる当帰や川芎よりも更に強い作用があります。牡丹皮・桃仁と当帰・川芎はそれぞれ作用する血管レベル(太さ)や作用時間が異なるとの研究発表もありました。

以上より、女性系疾患ある方で、この両者どちらにするか迷っているのならば、より瘀血が強い場合は桂枝茯苓丸、瘀血はそこまで強くなく浮腫み(水毒)がはっきりしている場合は当帰芍薬散を選べば良いでしょう。迷えば作用の穏やかな当帰芍薬散からです。なんか今一つ効かないと思えば、桂枝茯苓丸を試してみれば良いでしょう。更には瘀血が強くて水毒もかなりある、となれば桂枝茯苓丸よりも強い駆瘀血剤と四苓散の組み合わせを考えます。

実際にはどちらを選ぶか迷いどころ

漢方を専門にやっている立場でも、時にはどちらが良いのか迷う時もあるので、皆さんが自分で買おうとした時に迷う場合も多いでしょう。いろいろな症状や体質などが複雑に組み合っていますから、考えれば考えるほど迷うでしょう。その場合には、以前にも書きましたが当帰芍薬散に桂枝茯苓丸を合わせるのも一つの手段です。良いとこ取りのずるい方法みたいですが、合方は立派なやり方です。その場合は、1日量と1日量を合わせて飲んでは絶対にいけません!例えば当帰芍薬散を朝晩1包づつで、昼のみ桂枝茯苓丸を1包のみとするのです。こうすることにより、幅広く効果が期待出来るのですが、そろぞれの処方が規定の一日量を下回るので、少し作用がぼやけることもあるかも知れません。

そこで簡易的な方法ではなく、必要な生薬のみを加えてオリジナルを作るのが我々のやり方になります。例えば、当帰芍薬散に桂枝、牡丹皮、桃仁を加えれば、この両者を足した感じになるのが分かるでしょう。実際に私がよくやるのは、当帰芍薬散を使いたい方で(瘀血はそこまで強くはない)、のぼせや眩暈などの症状(頭で気が滞っている)がある方に、桂枝茯苓丸を選択せずに当帰芍薬散に桂枝のみを加えて処方したりします。これ結構頭がスッキリして効いたと言われます。

いつも行く蕎麦屋(泰明庵)の向かいに、古い感じの町中華があります。「立川談志さんが愛した銀座の中華」だそうです。ちなみに泰明庵にもよくお見えになっていました。さてこの東生園は大昔に一回だけ行ったことがあるのですが、美味しかったのかどうか記憶がありません。と言うことで晩御飯を食べにお伺いしてみました。この周辺に多い高級中華ではなく、至って普通の町中華です。味的にも皆さんの家の近所の町中華屋さんと似たり寄ったりな感じかと思いますので、特にお勧めと言う感じではありませんが、ここにあって良かったと言うお店です!軽くササっとご飯を食べる感じとしては良いと思います。ただエアコンが効きすぎて寒かったです。
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細野漢方診療所 細野孝郎