細野漢方診療所 Hosono Kampo Clinic
自由診療・予約制
問診票ダウンロード一般女性系・不妊
アクセス03-5251-3637

処方解説:当帰芍薬散とうきしゃくやくさん、基本編

当帰芍薬散は女性の基本処方とも言われて、幅広く用いられる処方です。優しい6種類の生薬より構成されるため、漢方を初めて試す方も心配なく服用できるでしょう。

当帰芍薬散は金匱要略きんきようりゃくと言う3世紀に書かれた医学書に記載されているます。当院ブログでも当帰芍薬散に関して記事を多数書いて来ました。詳しいことは各ブログの記事へのリンクよりご覧ください。

疾患別コーナーでは現在(2023.4.1)までにアップした記事を抜粋し、要約して纏めてみます。

当帰芍薬散の根本となっているのは四物湯と五苓散

当帰芍薬散=四物湯しもつとう五苓散ごれいさん

当帰芍薬散の6種類の生薬の構成を考えると、当帰芍薬散≒四物湯+五苓散となります。ニアリーイコールとしたのは、両者を合わせた物から桂枝、猪苓、地黄を抜くからです。

四物湯とは

四物湯は4種類の生薬から構成される女性系の基本処方です。四物湯は血虚けっきょに用いる処方で、血の気の少なそうな人、血の質が悪そうな人に使います。もう少し分かりやすく言えば、貧血気味の人、産後の人、不正出血がある人、子宮内膜が薄く妊娠しにくい人、皮膚が乾燥している人(乾燥タイプのアトピー性皮膚炎なども含む)などが対象となります。

四物湯の構成生薬は、当帰とうき芍薬しゃくやく川芎せんきゅう地黄じおうの4つです。このうち当帰芍薬散には、地黄以外の当帰、芍薬、川芎の3つの生薬が含まれます。これらの女性系の生薬は比較的細い血管レベルでの血流を改善する副作用の少ない優しい生薬とここでは考えて下さい。

五苓散とは

五苓散は5種類の生薬から構成される水分代謝の基本処方です。五苓散は水毒(水毒)に用いる処方で、浮腫みやすい人、口が乾いて尿量が少ない人などに使います。

五苓散の構成生薬は、猪苓ちょれい茯苓ぶくりょう沢寫たくしゃ桂枝けいし白朮びゃくじゅつの5つです。桂枝以外の4つの生薬に水分代謝を調整する作用があります。桂枝(桂皮)には気の流れ(エネルギーの流れ)を下方に持ってくることにより、水分代謝を更に促進させる作用があります。このうち当帰芍薬散には、白朮、茯苓、沢寫の3つの生薬が含まれます。

当帰芍薬散の合う人は

以上のことより、当帰芍薬散は女性系疾患ある人(瘀血)で浮腫みなどの水毒症状ある方が適応です。

例えば、月経不順や月経痛、更には子宮筋腫から不妊症などの女性系の問題があり、更には浮腫みやすい方などが適応になります。多くの方がこれらの悩みを抱えておられると思いますが、当帰芍薬散は比較的優しい処方になるので、まず最初に試してみる価値はあるでしょう。

妊婦さんの基本処方とも言われています

金匱要略の中では、当帰芍薬散は、「妊娠中の女性が、お腹の絞るような痛みを訴える時」また「女性(妊娠中に限らず)がお腹の急な痛みを訴える時」に用いると書かれています。

また当帰芍薬散は安胎薬とも言われて、妊婦さんの血液の質を良くして、水分代謝を保ち、子宮を穏やかに保つことで、母体と赤ちゃんを守ってくれます。今では更に妊娠高血圧症候群にも効果があると数多くの研究結果が発表されています。当院では以前から基本的には妊娠高血圧症候群の予防として、妊娠が判明した時から服用することをお勧めしております。

まとめ

  • ・当帰芍薬散≒四物湯+五苓散
  • ・四物湯は女性系の基本処方
  • ・五苓散は水毒に対する基本処方
  • ・女性系の疾患があり、かつ浮腫みやすい方に
  • ・妊婦さんの基本処方でもある
  • ・優しい処方なので、服用しやすい

以上のことより、当帰芍薬散は幅広い年代の女性の諸症状に、また妊娠中の体調管理も含めて服用できる処方です。

ご予約の前にご確認ください

  • 自由診療制です。保険診療を行っておりません。
  • 細野漢方診療所の診察時間はこちらをご確認ください。
  • 初回の診察は、できるだけゆっくりとお話を伺えるように、お時間に余裕のある日時にお越しください。
    受付からお会計まで、1時間程度かかるとお考えください。平日夕方の時間帯は再診の方で混み合うことが多く、場合によっては初診の予約をお受けできないことがあります。
  • 初診の方は、こちらの問診票をご記入の上、ご来院ください。
この記事を書いた医師
東京診療所 細野 孝郎

院長【細野漢方診療所責任者】

細野 孝郎(ほその たかお)

03-5251-3637

漢方では、体を整えることで、病気を治したり、また病気になりにくい体作りをします。体のことでお悩みの方はもちろん、現在は健康だと思われている方も、ビタミンを摂るように、自分に合った漢方をみつけて、健康で楽しい人生を送りましょう。

昭和63年北里大学医学部卒
日本東洋医学会認定医国際抗老化再生医療学会名誉認定医国際先進医療統合学会理事千代田区医師会所属

川崎市立井田病院、藤枝市立志太病院、北里大学病院などを経て現在に至る。
北里大学病院では、膠原病・リウマチ・アレルギー外来を経て、漢方外来設立に尽力、担当。
1992年より聖光園細野診療所でも診療を開始。2021年12月法人(聖光園)から独立して細野漢方診療所として開設し診療を継続中。
得意分野:内科系疾患全般、月経困難症や不妊などの婦人科疾患、皮膚疾患。また、体質改善や健康維持など、加齢にともなうエイジングケアの漢方にも力を入れている。
趣味:猫、洗濯、料理、掃除、フルマラソン(サブフォー、ロンドン、シカゴ、ニューヨーク、ベルリン、フランクフルト、香港、東京、大阪、京都、神戸)など。

TOPへ戻る