• 内科医師からスタートし、現在は三代続いている漢方専門のクリニックを銀座で開業中。女性系疾患(月経関連、更年期、 不妊症など)、アトピー性皮膚炎などから、ちょこっと体の弱い人までお見えになります。趣味はマラソン(基本的にはインドアでテレビ派)、猫(アメショ)、週に1回の外食。マラソンはsix stars finisher(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)日本人では338人目位の達成!!

前回、前々回と熱中症に関して現代医学と漢方的観点それぞれから考えてみました。エピソード1エピソード2をご参照下さい。

さて気温が高ければ体に熱が篭るのは避けようがありませんし、湿度が高ければ汗が蒸発しにくくなり体温が下がりにくいのも避けようがありません。そこでまず出来ることは体の中の温度が上がり過ぎない様にすること、つまり冷たい物を摂って内部から冷やしてあげることです

食べ物には熱温性(体を温める性質のあるもの)、寒涼性(体を冷やす性質のある物)があります。昔言われたのですが南の地方で採れるものは体を冷やす作用があり、北で採れるものは体を温める作用があると言うことです。今は栽培技術や品種改良が進み、どこで採れたか良く分からないのでこれがそのまま当てはまるかは分かりません。スイカ、ナシ、パパイヤ、キウイなどは寒性、涼性の果物です。また何も食べ物だけではなく、冷たい水分を摂取するのも体を冷やす手段としては有効です。

さていつもここで問題になるのは、過剰に冷たいものを摂取してしまうことです。まず冷たいものはドリンクでも食べ物でも胃に入りますから、過剰に入れてしまうと胃が冷えて機能が低下してしまいます。つまり胃が動かなくなり食欲が低下し、体の怠さに拍車がかかるでしょう。女性の場合はあまり胃腸を冷やしていると、子宮卵巣系の血流低下に繋がり長期的には瘀血の原因となる可能性もあります。

また過剰な水分は胃液を薄めるので、これまた胃もたれ・食欲低下の原因ともなります。

つまりこの季節、深部温度を下げるのはとても大切ですが、上手にやらないと熱中症予防のつもりが結果的に胃腸に負担をかけていわゆる夏バテ状態となってしまいます。

冷たい物で体の熱を冷ましましょう!

ある休日のお昼ご飯です。炎天下10キロ走って来たから堂々と胸を張っての炭水化物です(笑)近所の有名なうどん屋さんです。うどんは麺自体に塩分が含まれますし、糖質もそこそこ含まれています。天ぷら付けてるので、塩分・糖分・油分の余分三兄弟揃い踏みの昼食です。

実はこの塩分、糖質が熱中症対策にとても重要な役割を果たします。体内のナトリウム(塩分)が汗で失わた状態で水をたくさん飲むとナトリウム濃度が下がってしまうので危険な状態になってしまいます。また糖分は腸からの水分吸収を助けてくれます。なのでスポーツドリンクは甘いような塩っぱい様な微妙な味付けになってしまうのでしょう。

と言うことで、このうどんランチは冷たいうどんが体の熱を冷ましてくれるだけではなく、真夏の運動後(基本この時期日中の屋外運動はずっと続けている人ではない限りやらないで下さい)の体内水分回復にとても効果的ではないかと密かに思っています!

細野漢方診療所 細野孝郎