冷房病とかクーラー病など、夏のこの時期にエアコンがガンガン効いた環境下で体調不良を訴える方がおられます。室外との寒暖差による自律神経の乱れであったり、または冷やしすぎによる冷えなどによる体調不良です。今回は冷やしすぎによる下半身の冷えについて考えてみます。下半身と言っても、腰回り、膝から下、または足先の冷えと部位が異なれば使用する漢方も違って来るのですが、今回ムクミある人の腰から下の冷えについてです。単純に下半身の冷えで調べると、おそらく当帰四逆加呉茱萸生姜湯や桂枝茯苓丸、八味地黄丸、または牛車腎気丸などが出て来るのではないでしょうか。今回の「腰から下の冷え+ムクミ」が主症状ならば、当帰四逆加呉茱萸生姜湯はむしろ末端(足先、手先)の冷えが適応なので、少し外れています。桂枝茯苓丸は悪くはないのですが、瘀血(血流の悪さ)が前面に出ているタイプの人にもっと合う感じです。ムクミがあって下半身ぽっちゃりタイプ向けではありません。八味地黄丸や牛車腎気丸、これらも良いのですが、ムクミや瘀血があってもほどほどの程度、また冷えもそこまでの感じではなく、冷房病の冷えと言うよりは一年中冷えている人の体質改善と言う感じの処方です。しかも八味地黄丸や牛車腎気丸はネットで検索すると「高齢者向けの漢方」みたいな印象を受ける人多いと思うので、私は若い人には遠慮してあまり処方しません。さて、ここまででムクミ、ムクミと何度も書いていますが、ムクミが強いとまずそれを少しでも改善しないと冷えが取れないからです。ムクミは水が過剰に溜まった状態で、水は体を冷やすので浮腫んだ部分に冷えを強く感じるからです。上に書いた漢方は効かなかったし、浮腫みやすいかも知れないなと思われるのでしたら、苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅっかんとう)と言う処方を試してみて下さい。これは4つの生薬より構成される処方で、その生薬の名前が処方名になっています。茯苓(ぶくりょう)、乾姜(かんきょう)、白朮(びゃくじゅつ)、甘草(かんぞう)この4つの生薬の強調文字部分をつなぎ合わせて苓姜朮甘湯となります。皆さんこれで、「漢方薬の構成生薬まで知ってるぞ!」みたいな物知りな感じになりました!乾姜で体を温めて、残りの生薬で冷えの原因の水を排出しようと言う狙いです。作用はマイルドなので、瘀血が強かったり、ムクミ(水毒)のレベルが大きかったりすると効いた感じはしないと思います。ただセルフメディケーションには良いと思うので、試してみてダメなら漢方をやっている病院で相談してみて下さい。
先月末に京都へ行った時がちょうど祇園祭の山鉾巡行の日でした。別にそれを狙って行ったわけではありません、と言うか全く知りませんでした。夜に山鉾がライトアップされる宵山は高校生の時に一度だけ行ったことがありますが、こんなパレードがあるとは知りませんでした。今回の宿泊したホテルの前が山鉾巡行のコースで、交差点を右折するために下に竹?を引いて車輪を滑らせて方向転換をします。35度を超える陽射しの中、30分頑張って見物しましたが、そこで限界でした。観光客は日陰に入って見てもいないし、他に見物しているのは「○○ちゃん、何番目の鉾に乗ってるんや??」とか会話している地元の人が多数でした。鉾の屋根上の人とか大丈かと心配になる暑さでした。早々に退却した後は、夜の約束まで時間あったので、話題になっている映画「国宝」を見て来ました。最後の偶然の再会場面にちょっと思ったことはありますが。平日の午後にも関わらず京都の映画館はほぼ満席でした。久々の映画館でしたが、涼しいし暗いので集中して観れるしなどで良かったです。
細野漢方診療所 細野孝郎