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更年期の漢方治療

Menopause · Hosono Kampo

📖 本文中の緑色の処方名および下の一覧表の処方名をクリックすると、院長が書いた診療日誌(ブログ)の解説記事に移動します。

気と血、両方を整える

「更年期障害の基本は、『気』と『血』の両方の流れが悪くなることです。ほてり・のぼせ・動悸・イライラといった自律神経症状(気の乱れ)と、不正出血・月経不順(血の乱れ)が同時に起きるのはこのためです。気だけを整えても、血だけを改善しても、どちらも不十分。両者を同時に解決できる処方として、加味逍遙散(かみしょうようさん)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)通導散(つうどうさん)女神散(にょしんさん)などがよく使われます。のぼせが強く、上半身に熱がこもりやすい方には加味承気湯(かみじょうきとう)が有効なこともあります。ただしこれらのどれが合うかは、体力・冷えの程度・便通の状態などによって大きく変わります。」

【イライラ・怒りっぽい・情緒不安定】抑肝散か、加味逍遙散か

「些細なことで怒りがこみ上げる、夜中に目が覚める、涙もろい——これらは『肝』の気が乱れているサインです。この症状には抑肝散(よくかんさん)がよく効きます。ただ、胃腸が弱い方や吐き気がある方には抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)の方が胃に優しく使いやすい。さらに自律神経の乱れが強く、のぼせや口の渇きも伴う場合は加味逍遙散柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)を選ぶことが多いです。イライラという同じ症状でも、どの処方が合うかは一人ひとり異なります。更年期特有の気と血の両方の乱れが強い場合には通経湯(つうけいとう)を選ぶこともあります。」

【めまい・クラクラ・不正出血】症状の主役が何かで処方が変わる

「めまいやクラクラが主な症状のときは、気と水(すい)の問題として苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)がよく効きます。さらに血の不足も重なる場合には、四物湯を加えた合方——連珠飲(れんじゅいん)とすることで、めまいと血虚の両方に対応できます。一方、不正出血が前面に出ている場合は芎帰膠艾湯(きゅうきこうがいとう)で止血を優先することもあります。のぼせや炎症感を伴う不正出血には温清飲(うんせいいん)も選択肢に入ります。また便秘を伴う方には、瘀血を強く動かす通導散大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)桃核承気湯(とうかくじょうきとう)なども選択肢に入ります。」

【治療の目安】最低でも月経3回分の経過を見る

「更年期の症状は月経周期に連動することが多く、月経前に悪化し、月経が来ると少し楽になるパターンを繰り返します。そのため効果の判断には、最低でも月経を3回は越える必要があります。ただ『何となく体が楽になってきた』という感覚は、次の月経頃から出てくることが多いです。それを手がかりに治療を続けると、症状は着実に改善していきます。不妊治療を経て更年期に差し掛かった方が再び来院され、同じ漢方で楽になれたという経験も多くあります。」

1928年から続く研鑽の歴史
1928年から続く、研鑽の歴史
三位一体の診察
この三位一体の診察こそが、0.1g単位の精密なサジ加減を可能にするのです。

【実際の臨床では】症状はこんなにきれいに分かれない

「ほてりもある、便秘もある、めまいもある、イライラもある——実際の患者さんはこうした症状が複合して現れることがほとんどです。上の表のように症状ごとにきれいに処方が分かれるわけではありません。たとえばほてりと便秘が重なれば、加味逍遙散だけでは不十分で、通導散や加味承気湯を組み合わせる必要が出てきます。イライラとめまいが同時にあれば、抑肝散と苓桂朮甘湯のどちらをどの割合で使うか——あるいは連珠飲に抑肝散を合わせるのか——を判断しなければなりません。こうした複合した状態を舌・脈・腹診で読み解き、0.1g単位でサジ加減を調整する。これが三代続く細野漢方の診察の核心です。」

症状と処方の対応 — ひと目でわかる一覧

症状・状態 よく使われる処方
ほてり・のぼせ・動悸
(気血両方の乱れ)
加味逍遙散 桂枝茯苓丸 女神散 通導散
イライラ・怒りっぽい
情緒不安定・不眠
抑肝散 抑肝散加陳皮半夏
柴胡桂枝乾姜湯 加味帰脾湯
めまい・クラクラ
(気・水の問題)
苓桂朮甘湯 連珠飲(苓桂朮甘湯+四物湯)
不正出血
(炎症・のぼせ伴う)
芎帰膠艾湯 温清飲
便秘を伴う
(強い瘀血)
通導散 大黄牡丹皮湯 桃核承気湯
のぼせ強い
(上半身の熱こもり)
加味承気湯
気と血の乱れ
イライラ+月経不順
通経湯 加味逍遙散
血の不足・顔色不良
倦怠感
当帰芍薬散 四物湯 人参養栄湯

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※ 実際の処方は診察の上、あなたの「証」に合わせて0.1g単位で調整します。

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当院では一人ひとりの証に合わせ、0.1g単位で処方を仕立てます。

三代、受け継がれる漢方の知恵

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