不妊・妊活の漢方治療
Fertility · Hosono Kampo
📖 本文中の緑色の処方名および下の一覧表の処方名をクリックすると、院長が書いた診療日誌(ブログ)の解説記事に移動します。
【不妊の根本】瘀血と血虚——二つの柱
「不妊の漢方治療の根本は、『瘀血(血の滞り)』と『血虚(血の不足)』の二つを整えることです。子宮・卵巣系の血流が悪くなると(瘀血)ホルモンバランスが乱れ、子宮内膜の環境も悪くなる。血液の質が低下すると(血虚)、子宮内膜という畑がふっくらと育たず、受精卵という種が根付けない。この二つは同時に存在することが多く、どちらがメインを占めるかを見極めた上で処方を組み立てます。顔色の悪さ・爪のもろさ・生理痛・冷えなどは、この状態が起きているサインです。」
【処方の強さと体質】強い駆瘀血剤か、優しい補血剤か
「血の流れを改善する処方は大きく二つに分かれます。一つは強く瘀血を動かすグループ——桃核承気湯(とうかくじょうきとう)・通導散(つうどうさん)・加味承気湯(かみじょうきとう)など。効果の体感は早いですが、体への負担も大きい。もう一つは体を温めながらゆっくり血流を改善するグループ——温経湯(うんけいとう)・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)など。実際にはこの両者の中間に無数の処方が存在し、あなたの体力・冷えの程度・便通の状態に合わせて最適な比率で組み合わせます。」
【血液の質・子宮内環境】畑を育てる
「血流(トラック)が走っていても、積んでいる荷物(血液の質)がスカスカでは子宮内膜は育ちません。血の質を高める処方として四物湯(しもつとう)が基本となります。不妊治療では血流改善の処方と血を補う処方を組み合わせることが多く、たとえば桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)と四物湯を組み合わせた折衝飲(せっしょういん)はその代表です。子宮内膜をふっくら育て、受精卵が根付ける畑を作ること——これが漢方の不妊治療の核心です。」
【長期不妊・精神的ストレス】気の滞りにも対応する
「不妊治療が長引くと精神的な圧迫が強くなり、漢方でいう『気の滞り(気滞)』が生じます。ストレスがホルモンバランスをさらに乱し、妊娠しにくい体に陥る悪循環です。抑鬱感・胸の圧迫感・右脇腹の不快感・お腹の張りなどが現れてきたら気滞のサインです。この場合は血流改善の処方に気の流れを整える加味逍遙散(かみしょうようさん)・抑肝散(よくかんさん)などを加味することで、この悪循環を断ち切ることができます。」
【高齢・体外受精との併用】時間との戦い
「当院に初診される不妊の方の多くは35歳前後で、時間的余裕がない場合がほとんどです。体外受精・顕微授精と漢方の併用は、体の軸を整えながら治療を進める上で有効なアプローチです。基本的な治療の方向性は自然妊娠も体外受精も同じですが、体外受精の周期に合わせて処方のタイミングや内容を調整することも重要です。急がば回れで体作りを優先すべき時期もあれば、時間を優先して強い処方で一気に体を整えるべき時期もある——その判断が三代の臨床経験の真骨頂です。」
【排卵湯】北京婦産医院発祥の処方
「他院で様々な漢方を試しても効果が出なかった方に、最後の選択肢として試していただくことがある処方が排卵湯(はいらんとう)です。中国・北京婦産医院(北京トップクラスの産婦人科病院)が発祥の処方で、エキス剤として扱える医療機関は国内でも極めて限られています。通常の瘀血・血虚アプローチでは改善しきれなかった方に、この処方が奏功するケースがあります。詳しくは診療日誌の記事をご参照ください。」
【妊娠中・産後・母乳】妊娠してからも漢方が支える
「妊娠が成立してからも漢方のサポートは続きます。妊婦さんの基本処方は当帰芍薬散で、流産予防・むくみ・貧血・お天気頭痛・めまいなど妊娠中の様々な不調に対応します。多嚢胞性卵巣や不育症には柴苓湯(さいれいとう)が有効なケースもあります。産後は消耗した気血の回復に芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)を用います。また母乳の出が悪い場合には蒲公英湯(ほこうえいとう)が基本処方となります。不妊で苦労された方ほど、妊娠後も安心して診察を受け続けていただきたいと思っています。」
【実際の臨床では】不妊+冷え・月経不順など複合する
「不妊だけという方はほとんどいません。冷えがひどい・生理痛がある・月経不順がある・PMSがひどい・長期の不妊治療でストレスが溜まっている——これらが複合した状態で来院される方がほとんどです。体外受精を何度やっても着床しない方、流産を繰り返す方、二人目不妊の方、海外から一時帰国して短期間で処方を合わせたい方——それぞれの状況と体の状態に合わせて、0.1g単位で処方を組み立てる。これが三代続く細野漢方の診察です。」
症状と処方の対応 — ひと目でわかる一覧
| 状態・目的 | よく使われる処方 |
|---|---|
| 瘀血タイプ (強い血流改善) |
桃核承気湯 通導散 加味承気湯 大黄牡丹皮湯 |
| 冷えタイプ (温めて血流改善) |
温経湯 当帰芍薬散 苓姜朮甘湯 |
| 血虚タイプ (血液の質を高める) |
四物湯 人参養栄湯 |
| 瘀血+血虚 (両者を同時に) |
折衝飲 桂枝茯苓丸+四物湯 |
| 長期不妊 精神的ストレス・気滞 |
加味逍遙散 抑肝散 通経湯 |
| 他の漢方が不発 (最後の選択肢) |
排卵湯(北京婦産医院発祥) |
| 妊娠中・不育症 流産予防・むくみ |
当帰芍薬散 柴苓湯 芎帰膠艾湯(不正出血) |
| 産後・母乳 気血の回復 |
芎帰調血飲(産後の回復) 蒲公英湯(母乳不足) |
📖 処方名をクリックすると、院長が書いた診療日誌(ブログ)の関連記事に移動します。各処方の詳しい解説・使い分け・実例をお読みいただけます。
※ 実際の処方は診察の上、あなたの「証」に合わせて0.1g単位で調整します。
【三代の診察】舌・脈・腹で処方を見極める
「私たちは三代98年の診察経験をもとに、あなたの体の状態を舌・脈・腹で精確に読み解き、0.1g単位のオーダーメイド処方で対応します。」
- 舌診:血の質と『水』の停滞を映し出す。
- 脈診:生命力の勢いと、気の巡りを測る。
- 腹診:これが細野漢方の真骨頂です。お腹を診れば、瘀血の深さや、気の滞りが『どこにあるか』まで指先でわかります。
女性系疾患の他のページを読む
症状・お悩みから記事を読む
気になる症状をクリックすると、関連する診療日誌の記事一覧に移動します。
★ 印は特に閲覧数の多い記事があります。処方の詳しい解説・使い分けは診療日誌をご覧ください。
当院では一人ひとりの証に合わせ、0.1g単位で処方を仕立てます。
三代、受け継がれる漢方の知恵
細野 史郎
創始者(初代)
1928年開院
細野 八郎
二代目院長
細野 孝郎
現院長(三代目)