胃腸・消化器疾患の漢方治療
Digestive Health · Hosono Kampo
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【胃腸はすべての治療の土台】胃が動けば、気が巡る
「たとえお悩みがアトピーであっても、不妊であっても、更年期障害であっても——私は必ず胃の状態を確認します。父から『胃腸を健やかに保たなければ、どんな病も治らない』と繰り返し叩き込まれてきたからです。漢方でいう『気』は食べ物から作られます。胃腸が発電所として正常に動いてこそ、全身にエネルギーが巡る。胃もたれ・膨満感・食欲不振は、単なる消化のトラブルではなく、全身のエネルギー不足を告げるサインです。」
【胃もたれ・食欲不振】4つの処方の使い分け
「同じ『胃もたれ』でも処方はまったく異なります。胃腸の動きが悪くお腹にぽちゃぽちゃと水が溜まるタイプには六君子湯(りっくんしとう)。お腹が冷えて胃が動かないタイプには人参湯(にんじんとう)が温める作用で対応します。胸焼け・胃酸過多・胃痛があるタイプには安中散(あんちゅうさん)、食べ過ぎ飲み過ぎで胃がもたれる体力のある方には平胃散(へいいさん)が適しています。気の滞りが加わる場合は香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)や茯苓飲(ぶくりょういん)も選択肢になります。」
【逆流性食道炎・胃炎】半夏瀉心湯と胃苓湯
「逆流性食道炎・慢性胃炎・吐き気・口内炎が繰り返す方には半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)が非常によく効きます。ただしこの処方は黄芩・黄連など作用の強い生薬を含むため、腹診なしで適当に使うと逆効果になることもあります。水毒(胃内停水)を伴う胃炎・胃もたれには胃苓湯(いれいとう)が有効です。同じ胃炎でも状態によって全く異なる処方が必要——これが漢方の奥深さです。」
【過敏性腸症候群(IBS)】ストレスと腸の深い関係
「ストレスや緊張でお腹が痛くなる・下痢と便秘を繰り返す・ガスがたまる——これらは過敏性腸症候群の典型症状です。漢方では腸の動きは『気』の流れと密接に関係しており、ストレスが気を乱すと腸の動きも乱れると考えます。過敏性腸症候群には小建中湯(しょうけんちゅうとう)・大建中湯(だいけんちゅうとう)・桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)などを中心に、気の流れを整える処方を組み合わせます。」
【便秘】「気・血・水」を整えて自然なお通じへ
「便秘は諸悪の根源です。体内のゴミを溜め込んでいる状態ですから、ニキビ・肌荒れ・アトピーの悪化にもつながります。漢方の便秘治療は単に下剤で出すのではなく、腸の動きの原因を見極めます。気の流れが悪いのか、血の流れが悪いのか、腸が乾燥しているのか——によって処方がまったく異なります。男性や体力のある方の頑固な便秘には大柴胡湯(だいさいことう)、高齢者の乾燥傾向の便秘には潤腸湯加味(じゅんちょうとうかみ)(当院独自処方)が有効です。強い下剤を使わずに自然なお通じを取り戻すことを目標にします。」
【体力低下・慢性疲労と胃腸】補中益気湯の出番
「疲れると食欲がなくなる・風邪をひきやすい・だるくて体が重い——これらは胃腸の気が不足しているサインです。補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は気を補い、下垂した臓器を引き上げ、全身のエネルギーを底上げする処方です。胃下垂・脱肛・慢性疲労・免疫力の低下にも広く応用されます。胃腸を強くすることが、すべての体質改善の出発点です。」
【実際の臨床では】胃腸症状は複合することが多い
「胃もたれだけ、便秘だけという方はむしろ少数です。胃もたれと逆流性食道炎が重なる、IBSと慢性疲労が同時にある、便秘と肌荒れが連動している——こうした複合した状態が現実です。また同じ六君子湯でも、胃腸の弱い方の基本処方として他の疾患の処方に混ぜ込むこともあります。胃腸を守りながら他の症状も治療する——これが細野漢方の『胃から整える』というアプローチです。0.1g単位のサジ加減で、あなただけの処方を組み立てます。」
症状と処方の対応 — ひと目でわかる一覧
| 症状・状態 | よく使われる処方 |
|---|---|
| 胃もたれ・食欲不振 胃に水が溜まる感じ |
六君子湯 茯苓飲 香砂六君子湯 |
| 胃が冷えて動かない お腹が冷えて痛い |
人参湯 四君子湯(しくんしとう) |
| 胸焼け・胃酸過多 胃痛・吐き気 |
安中散(あんちゅうさん) 半夏瀉心湯 |
| 食べ過ぎ・飲み過ぎ 体力のある胃もたれ |
平胃散(へいいさん) |
| 逆流性食道炎 慢性胃炎・水毒 |
半夏瀉心湯 胃苓湯 |
| 過敏性腸症候群 ストレス性の腹痛・下痢 |
大建中湯 小建中湯 桂枝加芍薬湯 |
| 頑固な便秘 (体力ある男性に多い) |
大柴胡湯 大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう) |
| 高齢者・乾燥性の便秘 腸管の水分不足 |
潤腸湯加味(当院独自処方) |
| 慢性疲労・免疫低下 胃腸の気の不足 |
補中益気湯 |
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※ 実際の処方は診察の上、あなたの「証」に合わせて0.1g単位で調整します。
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当院では一人ひとりの証に合わせ、0.1g単位で処方を仕立てます。
三代、受け継がれる漢方の知恵
細野 史郎
創始者(初代)
1928年開院
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二代目院長
細野 孝郎
現院長(三代目)